【現役・製薬QCが解説】品質管理の仕事は「試験」だけじゃない!試薬・機器管理までこなす3つの業務実態

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皆さん、こんにちは。Kosen Assetのbadoです。

理系学生の皆さん、特に高専の化学系学科の皆さん。「製薬会社の品質管理(QC)」という仕事に、どんなイメージを持っていますか?

毎日白衣を着て、ビーカーや試験管を振っているイメージかな?
研究職と同じように、ひたすら実験してるんでしょ?

コセン君
コセン君

半分正解で、半分間違いです。
実は、試験そのものより「試験を行うための環境(試薬・機器)を維持する仕事」の方が大変だったりします。   

また、必ずしも白衣とは限りません。私の職場は作業服です。

bado
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実際の現場におけるQCは、「化学と機械の何でも屋」と言った方が近いかもしれません。

特に、高専や専門学校の化学系学科を卒業した方は、この職種に就く可能性が非常に高いです。
今回は、現役の製薬QCとして働く私が担当している「3つの主要業務(試験・試薬・機器)」について、求人票には載っていないリアルな実態をお話しします。

【管理人プロフィール】

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【高専卒 × 製薬QC × 資産形成】

20代の現役・製薬工場品質管理(QC)職。 職場環境や業務に不満はありませんが、「人生の自由時間」を最大化するため、40歳でのFIREを本気で目指しています。

理系学生や若手技術者へ向けて、現場のリアルな仕事論と、着実な資産形成術を発信中。

📊 現在の資産状況 総資産:600万円 (インデックス投資:400万 / 現金:200万)
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【メイン業務】製剤(錠剤)の試験業務

まずはメインとなる試験業務です。
私は主に、工場で製造された「製剤(錠剤など)」が、決められた規格に適合しているかを判定する試験を担当しています。

使用する分析機器

学生実験でもおなじみの機器から、さらに高度なものまで扱います。

  • HPLC(高速液体クロマトグラフィー): 製薬QCの相棒。有効成分の量を測ります。
  • UV(紫外可視分光光度計): 簡易的な同定などに使用。
  • IR(赤外分光光度計): 物質の指紋(スペクトル)を確認。

試験スケジュールのリアル「3日コース」

「試験」と聞くと、数時間で終わるイメージがあるかもしれませんが、医薬品の試験は長丁場です。例えば、一つの製品の試験を完了させるのに、以下のように3日間かけて計画的に進めることも珍しくありません。

📅 ある製品の試験スケジュール例

1日目
準備・性状

HPLCで使う「移動相」の調製や、システム適合性試験(試運転)を行います。また、錠剤の見た目や形を確認する「性状試験」など、短時間で終わる項目を片付けます。

2日目
定量分析(HPLC)

ここが山場です。錠剤を粉砕・前処理して試料溶液を作り、HPLCで測定して「含量(有効成分量)」を算出します。1mgの秤量ミスも許されない集中力が必要です。

3日目
溶出試験

人の体温に近い37℃の液中で、錠剤が規定時間内に溶けるかを確認します。これもまた別の専用機器を使います。

注意点

これはあくまで1例です。品目によっては5日以上かかる長い試験もありますし、実際には複数の品目の試験を並行して進める(マルチタスク)スキルが求められます。ここが一番の腕の見せ所ですね。


【サブ業務①】試薬管理(法令順守の要)

ここからは「試験以外」の裏方業務です。
私が担当しているのが、試験に欠かせない「試薬」の管理。                日常的に行う業務は、試薬発注・納品対応・在庫管理・期限管理・試薬登録など単純なものが多いですが、時折法律の知識が求められる専門的な仕事が発生します。

専門性が問われるリスク管理

毒劇物管理

毒物・劇物など特定の試薬に関しては鍵付き保管庫に入れるかなど、法規に基づいて厳密に管理します。

以前の記事でも紹介した「毒物劇物取扱者」の知識がここで活きます。

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法改正対応(リスクアセスメント)

最近は、労働安全衛生法などの改正に伴い、新しい試薬を使う際に「化学物質リスクアセスメント(RA)」や「ガン原性調査」を行う義務があります。「この試薬を使うとどんな健康被害のリスクがあるか?」を調査し、現場の対策を考えるのも私の仕事です。

現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)も推進中

現在、紙の記録書を減らすために、記録の電子化プロジェクトを進めています。
試薬の入出庫記録や使用ログをどうやってシステムに落とし込むか。ITリテラシーも意外と必要になります。


【サブ業務②】機器管理(担当者制の責任)

3つ目は分析機器の管理です。
「機械はコンセントを入れれば勝手に動く」と思ったら大間違いです。彼らはとても繊細ですから(笑)。

「担当者制度」で自分の機器を持つ

部署内には何十台もの分析機器がありますが、それぞれに「管理担当者」が割り振られています。
自分の担当機器(私の場合は特定のHPLCなど)を持ち、その健康状態を維持する責任があります。

保守点検とトラブルシューティング

日常点検

ポンプの圧力は正常か? ランプの寿命は? などを日々チェックし、「この機器で試験しても大丈夫」ということを証明・記録します。

トラブル対応

これが一番大変です。「稼働音が変だ」「ベースラインが安定しない」といったトラブルが起きた際、まずは自分で原因を切り分けます。配管の詰まりを直したり、部品を交換したり。

高専時代に培った「機械をいじることに抵抗がない感覚」は、ここで非常に役に立っています。どうしても直せない重症な場合のみ、メーカーに修理を依頼します。


まとめ:QCに求められるのは「総合力」

いかがでしたか?
製薬工場の品質管理(QC)は、ただ試験をするだけではありません。

  • 化学: 分析原理の理解
  • 法律: 試薬の法的管理
  • 機械: 機器メンテナンス
  • IT: データ管理とDX

これら「化学・法律・機械・IT」の知識を総動員して、医薬品の品質を守る仕事です。
1mgのズレも許さない几帳面さと、数日間の試験をパズルのように組み立てる計画性が求められる、非常に奥が深い職種です。

「仕事内容はわかったけど、そんなに業務があって時間は足りるの?」
そう思ったあなた。鋭いです。

次回は、この業務量をどうやって定時(+月20〜30時間の残業)でこなしているのか?
「現役QCのリアルな1日のタイムスケジュール」を公開します。お楽しみに!

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